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2008年5月 7日 (水)

GWの読書

「フードアナリストが選ぶ横浜中華街の名店」をGW中に読んだのでその感想をまとめてみる。

まず概要から。この本は「フードアナリスト」が実際に横浜中華街の店で食べて評価したという60店舗弱の店について記述されたものである。中華街の料理店は大体210ちょっとなので、1/4ちょっとを掲載していることになる。データとしては2007年11月までの内容で書いているようだ。取材調査自体は2006年11月から4回に渡り行っていた旨記載されている。取材に際しては発展会の協力を得ているとのこと。つまり、お膳立てがある程度なされた上での取材であり、覆面での評価がなされたものではないようだ。

本の冒頭には中華料理に関するウンチクがついている。各店舗が見開き1つで紹介されていて、店の出自、店内の様子、料理に関する紹介コメントと写真で構成されている(写真は取材した本人が撮影)。各見開きの最後にその店舗の調査を担当したフードアナリストの顔写真と略歴や自己紹介文がついていた(顔を出していない人もわずかにいた)。食べ歩き帳を意図しているらしく各ページに「店のスタンプ、サインをいれてもらいましょう」なんて欄がある。実際そんなことをやったらとても恥ずかしい代物だと思うのだが。

そして肝心のレポート内容について。

(悪かった点)

・ほとんど店の口上垂れ流しと思われる記述が満載。

裏を取ったり、他の店と比較するという分析作業が全くなされているように見えない。取材時にお店の人から聞いたことをほとんどそのまんま載せているのではないだろうか。どこに取材者の専門的な知見や分析が入っているのかさっぱり分からない。つまり、取材のお膳立てをしてもらって、取材項目のチェックリストとマニュアルでもつけてもらえれば、誰にでも書ける内容である。いきおい内容は薄っぺらくなる。

・取材者各自のレポートの単なる寄せ集めになっている。

単発レポートの寄せ集めなので、記載内容が似通ってしまったり、取材者ごとに文章の出来のばらつきが大きかったりと、1冊の本としての出来映えが良くない。ばらついている文章の中では、協会のスーパーバイザーだという人の文章は比較的上手だった。が、その辺のガイド本の内容に似た煽り文章が上手なだけで、内容の質が高かったというわけではないのが残念。

・料理品目は既出がほとんど

紹介されている料理の品目に関しては既存メディアに出ているものがほとんど。そしてフカヒレ、エビチリ、エビマヨの記述がやたらと多い。これは多分、取材者が中華といえばこれ、というような品とか、どこかの雑誌で見た品、という観点で選択した結果だと思われる。ざっと見でフカヒレだけで12件見つかった。エビチリ、エビマヨも各6件くらい。5店舗に1つがフカヒレをお勧めできる店だなんて、それはなんか違うと思う。5店舗に1つがフカヒレ料理を売りたがっている店だという話なら分かるが。

・表現が安易で薄い

紹介した料理を安易に「人気メニュー」と言ってのける。これも上記の垂れ流しの一貫で、お店が人気と言ったから人気なのだろう。人気のメニューかどうかなんてどうやって調べたのか実に疑問だ。「ここでしか食べられない」というのも散見。これもどうやって裏を取ったのだろうか。これの裏を取るのはものすごく大変なはずである。しかも反例が1つ出てくればその場で破綻する。よほど自信があるか、何も考えていないとこんな記述はできない。「~が中華街屈指」という表現も同様。

・掲載基準不明

一通り読んでみて、店舗の選択基準がなんだったのかさっぱり分からない。どういう視点で選ぶとこうなるのだろう?掲載された店とそうでない店で、どのような差があるのかを考えてみても、その差が全く思いつかない。正直、店をランダムに選んでも大差ない本ができあがると思う。

(良かった点)

・お店自体に関する話題が書いてある

店の出自や料理の作り方の工夫に関する記述が比較的充実。この手の話題は普通に食べに行っている人がそうそう聞ける話ではないのでそれなりに価値がある。これはあらかじめ発展会を通じて根回しができていたので、店のオーナーの話などを聞くことができるようにお膳立てができていたためと思われる。反面、これが口上垂れ流しの原因の一つになっているのだろうとも思われるが。

・分煙、禁煙情報有り

時流に合わせたのか、分煙、禁煙情報がきちんと出ている。ここだけは素直に評価できる。ただし、これまでに述べたように全体的に店の口上垂れ流しなので、単にその場でお店の人がそう言ったからそう書いた、という可能性もある。なので、どこまでほんとか判断しにくいのが難点。

以上、個別の具体的なツッコミどころを除いた概要はこんな感じである。残念ながら、私には買う価値のある本とは思えなかった。あと、別記事のコメントにもあるが、本文は全部白黒で価格が1500円である。中華街オフィシャルの本は全編カラーで980円であることを考えると内容・装丁トータルで考えてもかなり厳しい品質の本かと思う。

ところで、個別の記載事項についても、いくつかひっかかる部分があったのだが、そちらについてはまた別の機会にまとめてみようと思う。

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