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2008年5月11日 (日)

麻婆豆腐

麻婆豆腐は中国料理の中でも日本で非常によく知られた品だ。元々は四川系の料理で、唐辛子の辛さと中国山椒の痺れるような感覚が強烈な一品であるが、これを普通のご飯のおかずに合う程度までマイルドにした品がレトルト品などで一般に普及しているし、街の中華屋さんの定食物の定番でもある。中華街では、四川風の本格的なものも、もう少しマイルドなものも両方楽しむことができる。最近はどちらかというと本格的な方を売りにする店が増えているような感じだ。

ところで、先日読んだ「フードアナリストが選ぶ横浜中華街の名店」の巻頭の料理に関するウンチクに『「麻婆豆腐」が日本人向けに味付けたもので「麻辣豆腐」が本格的な味付けのものなのでメニューをよく見てみよう』というような感じの記述があった。いったいどこからこんなウンチクが出てきたのか実に不思議なのだが、私はこんな話は少なくとも中華街では一般に当てはまらないと思う。はっきり言ってこのような使い分けをしている店を見たことがない。というか「麻辣豆腐」という名前で出している店すら知らない。このあたりからも、かの本はろくに実体を調査しないでどこかで見つけた情報を引き写しているように見えてならないのだった。

さて、話がずれたが中華街の麻婆豆腐である。定番ものから本格四川風、はてはお店独自のアレンジが入った物までずらっと並べてみる。

まずは「景徳鎮」の四川麻婆豆腐かけご飯。ランチ時のものなのだが、1260円とかなりする。ランチ時にはこの品と同時に普通の麻婆豆腐も出していることがあるのだが、こちらの四川麻婆豆腐かけご飯の方を注文すると、「辛いけど本当に大丈夫?」とお店の人が確認してくるような品だ。食べると口の中でジャリジャリいいそうなほどスパイスが入っている。特に中国山椒がたっぷり入っていてかなり辛いというか痺れる。値段が高めなのでなかなか頼まないのだが、結構好きな味だ。

__1260_2

「辣」の麻婆豆腐定食、850円。こちらも本格的に辛い方。長粒米のご飯がついてくるのも特徴である。最後にラー油をかけて辛味の大小を調節している点がちょっと他の店と違う。ここの麻婆豆腐は開店当初は結構すごいと思っていたのだが、徐々に出来上がりのばらつきが大きくなってきたことと、改装して店内ガラス張りで外から丸見えになってしまったことから、食べに行かなくなってしまった。なので近頃の味の状況はちょっと分からない。

__850

「福満園」の陳麻婆豆腐かけご飯(激辛)、1000円。ランチメニューの品である。福満園の四川料理担当は景徳鎮系列のようなので、味付けも大体景徳鎮と同じだ。それでいて景徳鎮に比べてちょっと安めなのはお得感がある。景徳鎮に比べると山椒が微妙に控えめだが、それでも結構辛くて痺れる。

__1000

「福満園別館」では似ているがちょっと変わり種の品を一時期出していた。「海鮮麻婆豆腐かけご飯」である。値段は1000円。具に海老などの海鮮が入っているのと、枝豆が入っている点が少々変わっているが、味付け自体は景徳鎮や福満園と大体同じだ。辛さの方は少々弱めている気がする。

___1000

「新錦江(今の杜記別館)」の麻婆豆腐。ランチメニューの時のもので700円。景徳鎮のものと比べると少しマイルドになっているが、それでも十二分に辛い。山椒もそれなりにふりかけられている。

__700

「大福林」のランチの麻婆豆腐、530円。こちらは甘辛いマイルド系でご飯のおかずにぴったりという感じの麻婆豆腐だ。黒豆を多く使っていて、豆板醤や山椒はほとんど使っていないくらいの味だったと記憶している。

__530

「萬来亭」の麻婆豆腐、940円。こちらも甘辛系で独特のおいしさがある。物足りないお客さんは店主にもっと辛くしてくれ、と言うらしいが、上海料理屋で出す麻婆豆腐としては私はこれはこれでアリだと思う。中華街の店で出てくる麻婆豆腐が全部四川系バリバリではつまらないと思うのだ。

__940

おまけ。この記事を書くために写真の在庫を漁っていて「麻辣」がつく麻婆豆腐が1つだけ見つかったので出してみる。「」の「麻辣麻婆豆腐セット」、850円。この店は菜香グループだが、中華街の店ではない。横浜駅東口地下のポルタに出店している店である。辛さや痺れについては、新錦江のものよりちょっと弱めくらい。一般的な場所に出店している店としてはちょうど良い辛さ加減だと思う。

__850_2

とまあ、たかが麻婆豆腐だが、ほんとにいろんな味付けがある。いろんな店を回って食べ比べてみるのもおもしろいと思う。

最後に、麻婆豆腐について参考になりそうなサイトをいくつか。麻婆豆腐の名前の由来については、こちらとかこちらに書いてあった。どうも「麻辣豆腐」というのは一般的な名前で特に考案者の名前がついたのが「陳麻婆豆腐」というように読める。で、日本は「麻婆豆腐」の名前で普及してしまったというだけのことのようだ。なので、メニューの名前によって本格的とかどうとか言う話は全く関係無さそうだ。

あと、作り方などを動画で公開までしているサイトがこちら。林さんという方のサイトなのだが、麻婆豆腐に限らず中国料理についてかなりの記述があって、非常に参考になる。Webコンテンツとはかくあるべし、というくらい中身の詰まった良いサイトだと思う。個人的にお勧めである。

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コメント

昨晩、こちらを拝見してから
頭の中が麻婆豆腐になってしまったので、
今夜のおかずに作りました。
参考サイトさんのポイントがバッチリだったので、おいしく出来ましたよ~

投稿: ほんま | 2008年5月13日 (火) 00時51分

参考サイトさんは、ほんとによく調べてますよね。
最後に鍋底を焼く工程はここを見るまで知りませんでしたよ。

その辺のレシピ本にはなかなかこういうことが
書いて無いんですよね。

投稿: 本須 | 2008年5月13日 (火) 08時14分

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