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2009年3月 3日 (火)

【超番外編】ナポリタン考

先日アップされた、ほんまさんアリーマさんのナポリタン記事はとても興味深い内容だった。で、結局ナポリタンの発祥はどうなんだろうと思い、せっかくなので原典にあたろうと上野玲氏の「ナポリタン!」(以下ナポ本)を入手、読んでいろいろ考えてみた。もののついでに参考文献にもいくつか当たってみた。というわけで、今回は中華とはほとんど関係ない超番外編である。

まずは当のナポ本だが、それほど重い内容の本ではなくさらっと2時間少々で読めてしまう内容である(特に後半は軽い)。ただ、ナポリタンの発祥に関する部分はまじめに読むとあちこち論理展開に引っかかりがある。今回私が読んだのは単行本の方(2004年11月発行)であるが、文庫本の方が後に出ている(2006年5月発行)ので、文庫本の方には少し変更が入っているかも知れない点はご了承願いたい。あと、参考資料が大量にあるのだが、それらについては末尾に列挙したので参照願いたい。

さて、肝心のナポリタン発祥の話だが、本文152ページ中最初の30ページくらいにそれらに関する記載がある。いろいろとおもしろい記述が多いのだが、論理展開がかなり怪しい点が多い。可能性の言及が推測に変転し、さらにいつの間にか事実関係にすり替わった後にそれを論拠に「~疑うべき余地もない」とか「~歴然である」となってしまい、論理が吹っ飛んでいる点が散見される。ただ、何も考えずに読むとさらっと読めてしまったりもするので、意外にこういうのはうまい書き方なのかもしれないと思った。でも真に受けるには注意が必要な文章だと思う。

【いくつかの説】
さて、論理展開は別として、かのナポ本の発祥情報を整理すると、以下の4つがありそうだ。

(1)ミートボールスパゲティ起源(GHQ起源)説
(2)大正期の洋食屋起源説
(3)日本海軍食起源説
(4)ホテルニューグランド発祥説

(1)ミートボールスパゲティ起源(GHQ起源)説
ナポ本では、南北戦争後から増えたイタリア南部からのアメリカへの移民(参考文献[1a,p210~])によりイタリア料理がアメリカにもたらされ、ミートボールスパゲティがアメリカで定番化したという話、そしてそれをGHQが日本に持ち込んだのが起源であるという説が挙げられている。

これは確かに遠い祖先として同じかも知れないが、ミートボールスパゲティがそのままナポリタンに変わったというのはちょっと違う気がする。また、GHQが持ち込んだかどうかという点についての裏付けがどうも無さそうだ。ちなみに参考文献[1a]には南北戦争後にイタリアからの移民が増えたという情報しかなく、それがミートボールスパゲティがアメリカで定番化したという話につながる内容は記述されていないようだ。

(2)大正期の洋食屋起源説
ナポ本では、チキンライスは明治にはすでに存在しており(参考文献[1b,p227~])、さらに「イタリアン」という、トマトピューレもしくはケチャップを使った料理が出ていた(大正10年)という話が出ている。その出自は外国航路のコックが陸にあがってから作り出したものだそうだ。なお、チキンライス自体、西洋料理店が発祥ではなく、夫婦でやっているような洋食屋(チャブ屋)が発祥とのことである。

私としてはこれが日本における料理としてのナポリタンの源流として本命なんじゃないかと思う。これに後からいろいろ変化がついて今の形になったのではないかと思っている。

(3)海軍食起源説
ナポ本では、海軍食に「マカロニナポリタン」という似た名前のものがあったと出ている(参考文献[1c])。ただし、これはマカロニのトマト煮込みシチューのようなものと推測されているようだ。

これは多分今のナポリタンにつながらない。これはこれとしてそのまま海軍食の中で閉じてしまったんじゃないだろうか。参考文献[3,p89]には昭和5年の海軍記念日の献立表が出ているのだが、そこに「マカロニシチュー」なるものがある。材料は「生牛肉、馬鈴薯・玉葱・人参、干饂飩、(トマトソース)」となっている。「干饂飩」というのがマカロニなのだろう。また、参考文献[3,p199]には士官食として「マカロニナポリタン」なるものが出てくるが、これはナポ本で引用された参考文献[1c]に登場するものと同一のもの(海軍研究調理献立集:昭和7年)である。ここに出てきた表にはマカロニ物が他に出てこないことから、多分この「マカロニナポリタン」は先に出てきた「マカロニシチュー」を引き継いだ同等のものであろうと思われる。なお、参考文献[2]についてはWeb記事[3a]にもその内容の写真が出ていた。

ところで、この献立表をざっと見てみると「トマト煮」が結構多い。他に気になる品としては「トマト飯」(チキンライスはまた別にある)とか「ワカメのトマトケチャップ和え」なるものがある。参考文献[3,p200~]には代表的な品の作り方が一応出ているので、原文である参考文献[2]にあたれば「マカロニナポリタン」のレシピも分かるのではないかと思われる。調べたところ、原典にあたることは可能だが、調査するにはちょっと暇が必要だと分かったので、こちらはしばらく手が出そうにない。

(4)ホテルニューグランド発祥説
ナポ本で一番有望そうに書かれている説として、ホテルニューグランド4代目総料理長の高橋氏が東京新聞神奈川版に連載したエッセイを最大の論拠とした、ホテルニューグランド発祥説が述べられている。また、命名についても2代目総料理長の入江氏がナポリタンの命名者であるとしている。さらに、ナポ本ではGHQ本部が一時ホテルニューグランドにあったことから(1)ともつなげている。

残念なことに最大の論拠の部分を語っているのが高橋氏1名であるので、もう少し補強材料が欲しいところだ。ただ、それなりに具体的な話が出ているので、ある程度正しいのだと思う。しかし、これがそのままいわゆるナポリタンにつながったかというと私は少々疑問に思っている。東京新聞神奈川版に高橋氏が連載したエッセイはナポ本が出た後に「横浜流」という本[15]として2005年7月に発行されている。実際にこの本[15]にあたってみたのだが、残念なことにナポリタンに関する記述はp52からの1ページ程度。ここを読む限りでは「ミートソーススパゲティ」との関係はほとんど無さそうだ。また、この本ではナポリタンはここから広がったと書かれているが、ほんとにここを起点として広がったのかどうかはこれだけでは確信が持てなかった。あと、この本ではナポリタンと命名した理由についても述べられている(後述)。

【ナポリタンの要件】
改めて「ナポリタン」に必要な要件を考えてみたい。ざっと考えて、

(A)ナポリタンという名前である。
(B)トマトソースではなく、トマトケチャップを使っている。
(C)ソースに和えるのではなく、一緒に炒めている。
(D)具は、玉葱、加工肉、ピーマン、(マッシュルーム)

というくらいだろうか。

上記に対して、ナポリタン起源の最大の候補となっているホテルニューグランドで作られた「ナポリタン」の内容はどうだろうかというと、以下のようなものだったらしい。(参考文献[1][1d][15,p52])

『入江茂忠は苦心の末、トマトケチャップではいかにも味気がないので、刻んだニンニクに玉葱や生トマト、トマトペーストを入れ、オリーブオイルをたっぷり使った風味豊かなトマトソースを作りました。

 ハム、玉葱、ピーマン、マッシュルームを強火でよく炒め、スパゲッティーを加え、トマトソースに合わせ、すり下ろしたパルメザンチーズとパセリのみじん切りをたくさんふりかけました。

 中世の頃、イタリアのナポリでスパゲッティは、トマトから作られたソースをパスタにかけ、路上の屋台で売られた貧しい人々の料理でした。当ホテルではそれをヒントに「スパゲッティーナポリタン」と呼ぶことにしました。』

というわけで、(A)、(D)はクリアしているが残りを満たしていないので、やはりこれはトマトソースのスパゲティというべきものだろう。源流と言うには少々遠い気がする。ただ、命名については一応祖先だと思って良さそうだ。ただ、それなりに格式のあるホテルの料理で、貧しい人々の料理をヒントに命名、という点はひっかかるのだが。

あと、上記のレシピにはピーマンが入っているという点にも注目したい。なぜなら、ほんまさんの記事にあるホテルニューグランドのナポリタンにはピーマンが入っていないという話だからだ。ほんまさんの記事ではこれをもってニューグランドのナポリタンと市井のナポリタンとの断絶を語っているのだが、どうも最初のレシピにはピーマンは入っていたようなのである。参考文献[15,p54]には料理の写真が出ているのだが、よく見るとピーマンが一応目立たない感じで入っている姿を確認できた(追記:影の部分がピーマンっぽく見えているだけだという可能性有り)。なので、ピーマンの件は単にニューグランドが後にレシピを少し変えたというあたりがありそうな感じである。

【私の見解】
ケチャップで炒めたパスタ料理という点では、やはり洋食屋起源の方がありそうだと思う。ただ、具材についてはニューグランドの品を市井の店が参考にした可能性はあると思う。ピーマンについては、元々進駐軍向け高級食材であった(参考資料[5][6])ことから、ニューグランドの品に最初から入っていた可能性は高そうだし、市井の店にしても進駐軍に近しいホテル、洋食店、バー、あたりから徐々に喫茶店にまで広まっていったというのはありそうだ。ただし、ピーマンが一般に普及したのが1960年頃と相当後になってからなので[5][6]、時間をかけて比較的マチマチに広がっていったのではなかろうか。なので、ピーマンを入れる店と入れない店があったりするのはその辺が影響しているのではなかろうか。

「ケチャップで炒める」という行為について。元々チキンライスとの連想からそういう行為は洋食屋起源で普通にありそうだし、「イタリアン」の起源とされる外国船コック出身者にしても、諸外国の調理に触れているだろうから、「炒麺」のような手法は知っていたのかも知れないのでこれは意外と自然な行為だったかもしれない。

私としては、例えば、中国料理店が建ち並ぶ今の中華街も以前は外国人向けのバーなどが多かったと聞くので、そこで供される軽食として洋食屋の調理を源流とし、ニューグランドの具材を参考にしたような軽食ができたりしなかったか。また、その厨房に中国料理経験者がいて、炒麺の感覚でしっかり炒めるパスタ料理というものができたりしなかったか、という妄想に走りたかったのだが、どうもそっちは分が悪いような気がする。残念。

【ストーリー】

というわけで、あり得そうな経緯を少々無理やりまとめてみる。

ナポリタンの遠い先祖はトマトソースのパスタで、イタリア南部で食べられていたものである。そして、イタリア南部のナポリ地方はトマトの一大産地である。なお、イタリア北部では当初はあまりトマトでパスタは食べられていなかったらしい。[10]

南北戦争以前はイタリアからのアメリカへの移民は、イタリア北部からがメインだったが、南北戦争以降(1865~)、ナポリなどのイタリア南部からのアメリカへの移民が大量に発生[1a]、その食文化がアメリカに伝搬する。

イタリア料理店が増えることにより「ミートボールスパゲッティ」がアメリカで定番化[1]。これは、元々ミートボールスパゲティがイタリアにあったか、もしくはナポリ風ミートボールとトマトソースのスパゲティのコンボであろう。

余談だが、1876年にはハインツが瓶詰めケチャップを発売している。

第一次世界大戦(1914-1918)では日本は連合国側であった。海軍はイタリア近辺への駐留も行い、そこでコックがイタリア料理に触れた可能性が有る[1]。そして海軍の糧食に取り入れられ、「マカロニナポリタン」が海軍食に出現[1c]、しかしこれはマカロニのトマト煮込みのようなものと思われる[2][3]。そして、この経路はそのまま海軍内で閉じてしまい、いわゆる「ナポリタン」にはつながらなかったと思われる。

一方、アメリカでは戦時の糧食として、スパゲッティにケチャップをかけて食べるという簡易的な食べ方が存在していた[1]。

それとは別に日本の洋食屋(チャブ屋)発祥の「イタリアン」というものがあった。外国航路のコックが陸にあがってから作り出したもので、トマトピューレまたはケチャップを使って作ったパスタ料理である[1]。元々日本の洋食にはチキンライスという下地があったので、パスタもケチャップで炒めるというのにあまり抵抗がなかっただろう。また、外国船のコックとして諸外国の料理に触れていた可能性もあり、「炒麺」のような麺料理を知っていたのかもしれない。いずれにせよ、炒めるという行為はさほど不自然ではなかったことだろう。

さて、第二次世界大戦後、GHQがホテルニューグランドを接収。調理長が軍の糧食としての「スパゲッティのケチャップがけ」を基に進駐軍向けのトマトソーススパゲティを作り、「ナポリタン」と命名した。

そして、洋食屋や喫茶店に広がる過程で、元々あった洋食屋の「イタリアン」に「ナポリタン」が融合。「ホテル用ナポリタン」から名前と具材の一部がイタリアンに入り込み、現在の『ナポリタン』としての形態ができあがったのであった。

という感じでどうかな?

Test

【ナポな歴史年表】

いろいろ調べる過程で年表みたいなのができてしまったので、それを載せてみる。この辺を見ながらナポリタンの源流に思いをはせていただきたい。

1775-1783
 アメリカ独立戦争

1828
 (甘ピーマン)カリフォルニアワンダー登場[14]

1856
 トマトホールの水煮缶が発明される。(フランチェスコ・チリオ)[10]

1859
 横濱開港

1861-1865
 南北戦争。イタリア南部からの移民が増加。[1a]

1876
 Heintz社創業(実際は2つめの会社)
 瓶詰めトマトケチャップ発売。[4]

1880
 農家として初の玉葱栽培(札幌)[11]

1896
 清水屋創業(明治29年)
 日本最初のケチャップ。[8]

1903
 カゴメ、トマトソース製造開始。[9]

1908
 カゴメ、トマトケチャップ製造開始。[9]

1912
 明治から大正へ
 この頃にはチキンライスが存在。[1b]

1914-1918
  第一次世界大戦
 「日本は連合国側。海軍がイタリアのマルタ島に駐留。
 コックがイタリア料理に接したことはあるだろう。」[1]

1918
 「海軍主厨厨業教科書」に「マカロニアンドミート」(大正7年)
 ボイルしたマカロニのミートトマトソース煮のようなもの。[1c]

1921
 メニューに「イタリアン」というものがあった。
 外国航路のコックが陸にあがってから作り出したもの。
 トマトピュレかケチャップを使用。[1]

1921
 森本彦三郎氏がマッシュルームの栽培に成功。[13]

1926 大正から昭和へ

1932
 「海軍研究調理献立集」に「マカロニナポリタン」(昭和7年)
 ただし、レシピ不明。おそらく「マカロニアンドミート」と同等。[3][3a]

1941-1945
 太平洋戦争
 この頃のヨーロッパ戦線を舞台としたTVドラマで
 スパゲッティにケチャップをかけた料理が登場。[1]

1945
 横浜のホテルニューグランドがGHQの本部となる。
 ただし本部は10日ほどで日比谷に移転した。[1]

1949
 波崎でピーマンを栽培。進駐軍向け。
 カリフォルニアワンダーという種。[5][6]

1952
 日本の主権回復

1960
 日本でピーマンが一般に普及[5][6]

1977
 日清製粉「イタリアン」発売[1]

1983
 日清製粉「ナポリタン」発売[1]
 一般に広まった原因としては実はこれが最強という気もする。

【参考文献】

調査の過程で非常に多くの文献にあたったのでそのリストを載せておく。モノがモノだけにソースに注意を払うというのはお約束ということで。

[1]「ナポリタン!」上野玲(著) 扶桑社 2004年11月
調査の原点。以下[1a]~[1d]はこの本から引用している書籍。
出版社や発行年は私が別途調べたもの。

[1']「ナポリタン!」上野玲(著) 小学館 2006年5月(未読)

[1a]「世界の都市の物語 2 ニューヨーク」猿谷要(著) 文芸春秋 1992.2

[1b]「にっぽん洋食物語」小菅桂子(著) 新潮社 1983年12月

[1c]「海軍食グルメ物語」高森直史(著) 光人社 2003年02月(未読)

[1d]東京新聞神奈川版に連載された高橋氏のエッセイ
当事者に最も近いところの証言として重要。
ただし、身内なだけにバイアスがかかっている可能性も要考慮。

[2]「海軍研究調理献立集」1932年3月(未読)
農文協図書館島田彰夫文庫所蔵
平日のみ開館。貸し出し禁止なので研究者登録して見る必要有り。
コピーは可能、ただし1枚150円。
吉祥寺駅から歩いて30分くらいか?

[3]「写真で見る海軍糧食史」藤田昌雄(著) 光人社 2007年3月
海軍研究調理献立集の内部写真有り。

[3a]海軍研究調理献立集の写真が出ているサイト

[4]ハインツ
ケチャップの歴史など。英字の綴りに関してはナポ本[1](p35)と矛盾した
内容。どちらが正しいかは不明。

[5]ピーマンの歴史:波崎のページ

[6]波崎のピーマンについて

[7]デルモンテのHP(ピーマンについて)

[8]清水屋ケチャップの記事(朝日)

[9]カゴメの歴史

[10]トマトとナポリの関係
このシリーズの他のエッセイも結構おもしろい。

[11]玉葱(Wikipedia)

[12]磯子区:西洋野菜作りに言及(明治10年頃)

[13]マッシュルーム
1921年(大正10年)に、森本彦三郎氏が栽培に成功。
馬厩肥による栽培のため陸軍に隣接した栽培場(千葉習志野)があった。

[14]ピーマン 色んな情報

[15]「横浜流」高橋 清一(著) 東京新聞出版局 2005年7月

[16]ナポリ風ミートボールのトマト煮
Polpette napoletane al pomodoro
ピザ屋さんのメニュー?

[17]「Everything You Need to Know about Pasta(未読)
Verkaar, Desiree Manti, Stefano
Miller Books (2008/03 出版)
ISBN: 9789087240516
「Spaghetti all Napoletana 」が1項目として出ている。 

[18]ナポリタンのレシピ(英語)
トマトソースをかけただけ。炒めていない。
見た感じトマトパスタ丼。

[19]「pasta napoletana」というのは存在するようだ。
パスタにトマトソースをかけたもの。
この名前ではオーストラリアのサイトが引っかかりやすいようだが?

というわけで、いろいろ調べ物をしてなかなか楽しかったが、結構疲れた。年度末で締め切りが迫っている中、こんなことしている暇があったら仕事しろと言われかねないが、まあ現実逃避というやつである。ここまで我慢して読み進めた方、お疲れ様。

ちなみに、この記事を作るのに要した時間は20時間ぐらい。結構かかるもんだ。(ほとんどが参考資料を読んでいる時間だが)

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番外編」カテゴリの記事

コメント

うむぅ、、深い考察。
しかし、例えば冷やし中華でさえバビロニア発祥説などを唱える人が居るほど、食の起源とは同時多発的偶然の相似があったり、切り分けが難しいところです。

投稿: ふ゛り@全冷中会員 | 2009年3月 4日 (水) 07時17分

いやあ、素晴らしい大論考ですね!
歴史年表と参考文献がとっても嬉しいです。
この緻密さが、さすが本須博士(!)ですね!

拙文UPの後、コメント欄で話が広がるうちに色々な話がまた出てきたので、こちらも改めて続編を出そうかなあと思っています。

先日某所でフレンチのシェフに聞いてみたら、また面白い話が聞けたので。

ご参考までに二点上げて置くと

1."Napolitan"という英語は存在しなかった。明らかに日本で始まった誤表記(びっくりしました!)。

1.中華風に炒める技術が入ったのは、茹で置きのパスタを効率よく温めるためらしい。

いろんな意味で「日本の食べ物」なんだなあ・・・と色々考えさせられます。

投稿: アリーマ | 2009年3月 4日 (水) 19時21分

追伸:

>モノがモノだけにソースに注意を払うというのはお約束ということで。

素晴らしい論考が一層素晴らしくなる一文でした(笑)
座布団三枚。

投稿: アリーマ | 2009年3月 4日 (水) 19時26分

★ぶりさん

食の起源は難しいですね。
何をもって発祥とするかは切り分けが難しいと思います。

しかし、冷や中はバビロニアですか。
裏を取るのが大変そう。


★アリーマさん

炒めは茹で置き対応なんですね。
確かに茹でたてならソースに和えるだけで済みますが、
茹で置きだとそれなりに火を通さないといけませんからね。

Napolitanの語源、オックスフォード英語辞典あたりを参照すると
なんか載っていたりしないかな、と思いました。

続編、楽しみにしてますよ。

投稿: 本須 | 2009年3月 4日 (水) 20時19分

おお!おおおおおお!
教授のレポを密かに心待ちにしていたのですが、かくも素晴らしい内容にまとめてくださるとは!!
手近な文献だけとは思えないクオリティの論文形式!すっげぇ!
そしてニューグランドめ!「当時と全く変わらないレシピ」はウソだったのか!

ところでスパゲティっていつ頃から食べだされたんでしょうね?チキン”ライス”の調理は分かるんですよ。ただ、同時期にスパがいたとは思えないんだよなぁ。

当初のスパは日本人になじまず、うどんのような食感にするため、茹で置いたみたいな記述も見たのですが。

保存性の高いパスタを軍用に使うことはあっても一般に流通するのはもっとずっと後のような気もしますね。

やはり戦後からということになるんでしょうか?

投稿: ほんま | 2009年3月 4日 (水) 22時06分

★ほんまさん

ニューグランドのナポリタンについては参考文献の「横浜流」に
載ってますからぜひピーマンの記述をご確認下さい。
横浜市の図書館に10冊くらいあります。
(半分くらい貸し出しに回っているようですけど)

スパゲティの輸入は明治中期にはすでにあったようですよ。
ナポ本によると、大正10年には洋食屋のメニューに「イタリアン」が
あったとのことです。(価格8銭)

日本でスパゲッティがすっかり一般化したのは昭和29年以降のようですね。

折しも横浜税関がなんか書いてます。
輸入統計がH6年以降というのがかなり悲しいですが。
http://www.customs.go.jp/yokohama/toukei/topics/topics.htm
ここにもニューグランド説がでてます。
なぜかこっちにはピーマンの記述が消えてますけど。

ところで、ちょっとニューグランドのナポ写真を見直してみたのですが、
もしかするとピーマンは見間違いかも、と思い始めてます。
光の影になってちょっと緑っぽくなっているところがピーマンっぽく
見えているだけかもしれません。
(文章中にははっきり「ピーマン」と出てますけど)

投稿: 本須 | 2009年3月 4日 (水) 23時10分

チラっとあちらを伺ったら、コメントが50超え。
すごい盛り上がりですね。
これもひとえに愛すべきメニュー故だからでしょう。
根岸ベース住宅の開放日に、向こうの人に訊いてみると、謎解きに繋がりそうですね。
開放日、次はいつなのでしょう。

冷やし中華の起源については探偵団長がお詳しいと思います。

あぁ、こんな時間なのにクタクタに腰の無い独特の風味なナポが食べたくなってしまいました。
冷凍モノを蓄えておけば(笑。

投稿: ふ゛り@全冷中会員 | 2009年3月 4日 (水) 23時18分

★ぶりさん

冷凍物はうちでは最低1食分は冷凍庫に放り込んでありますよ。

でも、それなりにカロリーがあるので、夜中に食べるのは要注意です。

投稿: 本須 | 2009年3月 4日 (水) 23時25分

ほんま様のところから飛んでまいりました。
記事、大変興味深く拝見いたしました。
ナポリタン。
本当に多くの愛されているんだなぁと、あらためて実感です。

イタリア在住の作家・塩野七生さんの『イタリアからの手紙』というエッセイ集の中に、『マカロニ』という一遍があるのですが、それもなかなか興味深いと思います。
ナポリタンのルーツそのものには、直接つながらないかもしれませんが、『1932年のアメリカ海軍のcook bookにはスパゲティを30分ゆでるべしとある』とか、『1944年には20分となっている』『バターで炒めるのは古くなったスパゲティを捨てないでもう一度食べるときのやりかたである』とか。
で、そこに、『アメリカに渡ったスパゲティが、「和えたものをさらに天火でローストした」ローストスパゲティ』に変わったという記述があるのですが、このローストがどんなものかが、とても気になっています。

長々と失礼いたしました。

投稿: erima | 2009年3月 5日 (木) 00時55分

オックスフォードは電子辞書に付いているものだけなのですが、ふる~いWebsterも含めて結構いろんな辞書を参照して掲載なしでした。

ちなみに英語は"Neapolitan" で、語源はギリシャ語の"Neapolis"だそうです。

投稿: アリーマ | 2009年3月 5日 (木) 01時50分

★erimaさん

はじめまして。

アメリカ海軍ではスパゲティをバターで炒めるというのがあったんですね。
もしかして、この辺のやり方が洋食屋に伝わったのかも知れないですね。
アリーマさん情報の茹で置きのための炒めという話にもつながる気がします。

ローストのスパゲティは、スパゲティグラタンのようなものかもしれませんね。
和えたスパゲティにチーズをたっぷりかけてオーブンで焼くとか。


★アリーマさん

オックスフォード無かったですか。
さすがに英単語として認知されてないのかな。

それにしても昨夜からののカウンタの伸びはすごいことになってます。
たぷたぷ効果で通常の3倍は回ってますね。

週末くらいに10万ヒットかと思っていたら、一瞬で過ぎさってしまいました。

投稿: 本須 | 2009年3月 5日 (木) 19時09分

このエントリーを読み返し、コメント読み返し、またナポが食べたくなりました。(今日の昼は誘われて回転寿司)

しかもローストナポだなんて!

投稿: ふ゛り | 2009年3月 5日 (木) 22時32分

★ぶりさん

ローストナポではないですが、鉄板の上にパスタとチーズを
てんこ盛りにして焼いたホフブロウのスパピザなんかどうでしょう?

お腹パンパンになっちゃいますけど。

投稿: 本須 | 2009年3月 5日 (木) 23時25分

私は、ウィグルのラグマンが気になって仕方ありません。
あの中華麺にはトマト、玉ネギ、ピーマンなどが一緒に和えられていて、まるでナポリタンのようです。

投稿: 酔華 | 2009年3月 5日 (木) 23時29分

名前の問題は案外、深いと思います。

純国産の工夫ならナポリ風スパゲッティとか、トマトスパゲッティとか、イタリアンとか妥当でしょ。
もしワイルさん直伝のフレンチ厨房で生み出されたものなら、フランス語ベースになるのかなぁと。イタリア文化の影響なら、ナポリターナみたいな。読み方知らないけど。

ナポリタンという英語語源で、いつの間にか国内で綴りがアレンジされているみたいな落ち着き方は、料理そのもののルーツとかぶる様な気がします。

投稿: ほんま | 2009年3月 5日 (木) 23時30分

★酔華さん

あの干拌麺に似たやつですね。
干拌麺は炒めずに上からあんかけをかけている感じなので、
どちらかというとトマトソーススパゲティに近いかなと思ってました。


★ほんまさん

ワイルさんについては例の「横浜流」という本に
「彼のメニューは英語・仏語・伊語などが混載された独特の
チャンポンメニューでした」とか書かれてます。

結構いろんなものを取り合わせるのがお好きだったようなので、
直伝でもフランス語一本ということもなさそうな感じです。

ともあれ、私は語学方面は苦手なので、
この辺はアリーマさんあたりの続編に期待しちゃおうと思ってます。

投稿: 本須 | 2009年3月 6日 (金) 00時15分

再び失礼いたします。

名前の話なのですが、先述の『マカロニ』の中で、塩野さんが初めてイタリアに行かれた際、
「日本での好物であった、『スパゲティ・ミラネーゼ』を店で頼んだところ、意味が通じず、
「こういうソースで、こういう感じのものだ」と説明したところ、ウエイターが
「ああ、ボロニェーゼをお望みで」と答えたというくだりがあるんです。
で、これは、おそらく1960年代前半のお話で...
そうなると、日本ではそのころ、ボロネーゼ風のスパに「ミラネーゼ」と名付けて出していた
お店があるということになりますね。
またまたナポとは関係なくって申し訳ないんですが、でも、本場のものと日本では、
名前も何かの理由で変わってしまうという、ひとつの例としては面白いかなと思います。

投稿: erima | 2009年3月 6日 (金) 02時58分

本須様、こんにちは。

すばらしい調査と考察、感服致しました。
完全保存版ですね!

私としては、「ホテルニューグランドが現存し、戦後すぐに『ナポリタン』と命名した事実があることから源流という誇りを持っており、今も看板メニューの一つである。」ということに、もっとも重きを置きたい、と思っています。
これは横浜で生まれ育ち、本牧や根岸のフェンスの向こうの青い芝生を眺めながら育ったひとりのハマッ子としての思いです。

なので、発祥ではなく、「源流」と呼ぼうと思っていたりします。
大河の源流は一つとは限りませんものね!

今後も何か楽しい展開を考えていきたいと思ってます。
よろしくお願いします。

投稿: すぎちゃん | 2009年3月 6日 (金) 06時12分

■管理人様
ホフブロウへは行った事が無いのですが、ぐるなび見て驚きました。
スパピザ【ベテランメニュー】って何ですか(笑。

■酔華様
日本でラグマン、ラグマンと言い回っているのは私の知り合いと酔華さんだけです(笑。
都内だかどこかにウイグル料理店があり、仲間はそこまで行くか、麺から自作すると言っていました。
杜記(別)のランチ看板への再登場はあるのでしょうか。

投稿: ふ゛り | 2009年3月 6日 (金) 08時26分

★erimaさん

ボロネーゼはボローニャ風、ミラネーゼはミラノ風ですね。
どちらも地方名ですから、どこかのお店で間違って使ったのが
そのまま広まってしまうとかいうのはありそうですね。


★すぎちゃんさん

はじめまして。

私が調べたのはその辺の手近に見ることができる本とWebの
検索だけでして、結局ホテルニューグランドについては命名以上の
話については確信が持てませんでした。

ピーマンはどこに行ってしまったのか、それも未だに謎です。


★ぶりさん

ホフブロウのスパピザってベテランメニューなんですか。
全然知らずに初訪問で注文してしまいましたよ。
ちょっと味が単調なので最後の20%くらいは飽きますね。

投稿: 本須 | 2009年3月 6日 (金) 21時47分

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