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2009年5月23日 (土)

ニクと脂とタレにご飯

世の中には定番の組み合わせというものがある。ほかほかご飯の上に醤油ベースの甘いタレで煮込まれた肉と脂が乗った品なんかもその定番の一つであろう。

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今回はそんな定番の組み合わせを押さえた品の中から、『魯肉飯』についてこれまでに食べた各店のものを並べてみようと思う。

中華街で出している魯肉飯であるが、本場の台湾で言う魯肉飯とはちょっと違うようだ。中華街で出している品でよくあるタイプは、どんぶりご飯の上に角煮、肉そぼろ、味玉、高菜あたりが乗っている品である。しかし、Wikipediaの解説を見てみると、台湾の煮込み豚肉かけ飯であるところの魯肉飯(or 滷肉飯)は煮込んだ細切れ肉のあんかけを茶碗ご飯に乗せた物であって、角煮も味玉もついていないようだ。

なので、今回挙げる品は正しく魯肉飯と言っていいのかどうか微妙かもしれないのだが、その辺はあまり気にすることなく、日本で「魯肉飯」としてメニューに出ている品をメインに出してゆくことにする。

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まず、中華街の魯肉飯として一番よく知られているのは「秀味園」の魯肉飯であろう。どんぶり飯の上に肉そぼろ、高菜、角煮、味玉が乗ったこの品は価格が500円と格安であること、注文してから出てくるまでがかなり早いことから、大急ぎで安く食事を済ませたい向きに最適の品である。下の写真は数年前のまだ改装されていない頃のものである。

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つい最近改装した後の品はこちら。ちょっとご飯の露出が増えたかなという気がしないでもないが、日々のばらつきの範囲内という気もする。味は特に変わっていないようだ。値段も500円と同じというのが嬉しい。近頃ではスープを付けて800円のセットも出しているようなので、そのうちセットの方も試してみたいと思っている。

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「萬和樓」は素食(精進料理)が出てくるお店として知られている。かなり人なつこいおじさんがいるお店だ。この店でも魯肉飯がメニューに入っている。価格は850円。

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こちらの具は、角煮を切り刻んだような肉そぼろと、味玉、ブロッコリー、高菜、大根の酢漬けがついてくる。細切れ肉の合間からは椎茸も顔を出している。丼物というよりは、ご飯の一品料理という感のある品である。

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台南小路にある「福楼」も台湾料理系のお店である。こちらの魯肉飯は丼飯タイプで840円。具は高菜、角煮、味玉、角煮を刻んだような肉そぼろ。そして刻んだ葱が上からかかっている。

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具の味はかなりこってりと濃い。色の割には塩気は無いので中国醤油のせいでこうなっているのだと思われる。味玉にも十分味が通っていて、盛りつけはかなり無造作な品だが、かなり好きなタイプの味であった。

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ちなみに福楼系列の「口福」の魯肉飯はこちら。価格は福楼と同じく840円。丼飯で、上から葱がかかっている点は福楼に似ているが、色は薄め。こちらはどちらかというと秀味園タイプに近いように思えた。

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中華街大通りにある「蓮香園」も一応台湾系のお店のようだ。こちらは魯肉飯セットとして、1280円で出している。魯肉飯の他にはスープにザーサイ、水餃子、杏仁豆腐がついてくるのだが、それでも魯肉飯でこの値段はかなり厳しい。

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具は肉そぼろ、角煮、味玉(半分)、ブロッコリー。味はそれほど特徴が無い。単品で800円くらいならなんとかという気もするが、わざわざセットにするような品とは思えなかった。まあ、客単価を上げるにはセットにするのが手っ取り早いのだろうけど。

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「青葉新館」は雑誌などに出るときは薬膳関係で名前が出ているが、こちらも台湾料理系のお店である。こちらは角煮と肉そぼろあんが混じったタイプ。ご飯の上がニクニクニクとすごいことになっている。これで価格が750円。漬け物が少々添えられている。肉が恋しい向きにはこの品を大盛で食べたりすると幸せを感じられるかもしれない。

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つい最近できたお店「生福園」は台湾屋台料理のお店だ。こちらでも魯肉飯がメニューに入っている。価格は500円と秀味園と同じ最安値クラス。具は肉そぼろ、角煮、味玉、ザーサイであった。酔華さんの記事の写真を見ると、高菜が乗っているので、私が食べた時には高菜が切れていてザーサイにしたのだろう。味はそれほど濃くなくて、サラサラと食べられるタイプだった。

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もう閉店してしまったお店なのだが、今の羊次郎の2Fにお店を出していた「シャンハイヌーン」でも魯肉飯を出していた。価格は680円と結構リーズナブル。こちらは四角い容器に入れて、他店とはちょっと違う出し方をしていた。具は味玉、角煮を刻んだような肉そぼろ、ザーサイを刻んだもの、そして右上の方に乗っているのは揚げ豆腐である。揚げ豆腐が乗っているのを見たのはここが初めてだったように思う。

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こちらも閉店してしまったお店、「紫禁城」の魯肉飯ランチ、850円。スープにサラダに杏仁豆腐、ザーサイといろいろついてきていた。

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肝心の魯肉飯だが、汁だくというかタレだくというか、かなりあんかけたっぷりのタイプ。具は肉あん、味玉(半分)、角煮、チンゲン菜、高菜。味は濃いめ。中国醤油で濃く見えるのではなく、普通に味が濃い丼物であった。

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これは食べた人は少ないのではないかと思うのだが、「桃花」でも魯肉飯を一時期出していたのだった。価格は1050円と、さすが華正樓系列という価格帯。具は味玉、肉そぼろ、角煮、チンゲン菜。味付けはかなりお上品。桃花らしいといえば桃花らしい品であった。魯肉飯を一品料理風に作るとこうなるのかな、という感じ。味自体は良かった。

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「羊次郎」にも魯肉飯っぽい品が出ていた。メニューには「角煮丼」として出ている。価格は580円と意外に安い。具は、角煮に味玉、高菜、葱。羊次郎は狭いカウンター内で調理するタイプのお店なので、作りおきで対応できるこの手の品は合っているのかもしれない。

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伊勢佐木町商店街方面の「慶興」。元々中華街内のお店だったようだが、かなり前に中華街から移転したお店である。こちらにも魯肉飯がある。価格は700円。他店の同等品と比べると、見た目はちょっと寂しい。

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具はこってり煮込まれて半分崩れている角煮と味玉、高菜。ぐちゃぐちゃにかき混ぜて食べるた方がおいしいとお店の人に言われたので、その通りにして食べてみた。やっぱりもうちょっと具が欲しいかな、という感じであった。濃い目に煮込まれた角煮はそれなりにおいしかった。

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伊勢佐木町商店街にある台湾料理のお店、「口福館」。こちらにも魯肉飯がある。価格は683円となんか半端な数字が入っている。ここの魯肉飯は結構盛りがよい。具は味玉、高菜、角煮、肉あん。肉あんは豚バラ肉を細切りにしたタイプで他店とちょっと異なる。味付けは比較的あっさり目。サクサク食べられる品だった。

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今度は渋谷。こちらももう無くなったお店だが「ひげちょう」の「るうろう飯」セット、750円。漬け物と豚すね肉の皿が1つついてきた。ご飯は茶碗1つくらいで、上には肉あんとタクワンのみしか乗っていない。多分こういうのが本場台湾の品に一番近いタイプなのだろう。かなり昔に食べた品なので実はあまり記憶に残っていない。それほど印象的な味ではなかった気がする。

あと、「ひげちょう」は中華街にもあったらしいのだが、残念ながらそちらで食べる前にお店が無くなってしまったようだ。

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さらに中華街から外れるが、かなり質の高そうな魯肉飯が茅場町近辺で供されている。「台南茶寮」の魯肉飯ランチ、750円。デザートとおすましスープがついてくる。

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具は青菜と肉そぼろ、角煮、味玉。で、具の味付けというか、香り付けがかなり良い。これまで食べた魯肉飯の中で最も好みの品だった。ネットで評判を見かけて行ってみたのだが、ここまでの品が出てくるとは予想外。中華街近辺に引っ越して来て欲しいなぁ、と切実に思ってしまうような店だった。(ちなみに魯肉飯とは関係ないが、「新記」と「過橋米線」にも引っ越して来て欲しいと思っている。)

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とまあ、魯肉飯という名前で出ている品をずらっと並べてみたのだが、お店によって味付けも価格帯もかなり違う。比較的構成は似た品なのだが、食べ比べてみるとそれぞれのお店の個性が感じられておもしろい。

中華街の魯肉飯はほぼこれで全部食べているかなと思うのだが、まだまだ見逃しているものもあるかもしれない。何かおもしろい品があったら、コメント欄にでも情報をお寄せいただきたい。

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【おまけ】

魯肉飯と近い品で「肉燥飯」という品がある、肉あんに使う肉の部位が魯肉飯と異なるもののようだ。中華街ではもうすでに閉店してしまっているが、「太合殿」でこの品を出していた。価格は450円。基本的に茶碗飯なので、他の品と一緒に食べることを前提とした品のようだ。

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中華街ではないが、馬車道にも「五味香」という台湾料理系のお店がある。ここでも肉燥飯を出している。価格は400円でこちらも茶碗飯タイプだった。ここのご主人は萬和樓のご主人と雰囲気がかなり似ている気がする。

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ところで、完全に余談なのだが、台湾料理系のお店の店員さんにはフレンドリーな人が妙に多いのだが、これはなぜなのだろう?他の中国料理店と明らかに傾向が違うような気がするのだが。

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コメント

味玉を丸々1個分使う店と、半分の店とがあるようですね。
「蓮香園」、「紫禁城」なんかは、やっぱり半分か、という気がしました。
「桃花」のように1個分を半分に切って乗せてくれると嬉しいですね。

投稿: 酔華 | 2009年5月24日 (日) 04時57分

そういえば、中華街のチャイナスクエアにあった「ひげちょう」。
あそこで食べたのを思い出しました。
なんだかご飯ばっかりだったような。
参考↓
http://blog.goo.ne.jp/chuka-champ/e/326ef62551e8c116b1bb3c09986b009b

投稿: 酔華 | 2009年5月24日 (日) 05時01分

すごいデータベース!
急いでいる際には読みきれぬ濃さです。

味卵の件、私は1/2でも良いです。
丸1個の場合スプーンで供される事が多い肉燥飯には酔華さんのおっしゃる通り半分にカットしてもらえると食べやすいですね。

そういえば、生福園さん。
材料持込可(火を通すもののみ)と書いてありますね。
台湾は結構親日な国ですが、持ち込み可だなんて、もう町内一の客寄りなフレンドリーさではないでしょうか。

思わず斜め向かいの魚屋で大きな太刀魚を買って突入したい気に駆られました。

投稿: ふ゛り | 2009年5月24日 (日) 09時44分

★酔華さん

味玉は切らずに丸々1個だとちょっと食べにくいですね。
確かに最初から半分にしてもらった方が食べやすいです。

「ひげちょう」は中華街の方では味玉が乗っていたんですね。
結局、中華街の方は存在に気づいた頃には無くなってしまってました。


★ぶりさん

「生福園」は食材の持ち込みアリなんですか。おもしろいですね。
ただ、いくつか食べてみた感じでは、あそこは炒めのような品は
あまり得意でないように思えました。

投稿: 本須 | 2009年5月24日 (日) 21時38分

炒め、そうですか。
私はまだその手前の雲龍さえ未踏なので、いつになったら辿り着くか(笑。

持ち込み。
太刀魚>豆鼓蒸し
あたりを想像しました。

投稿: ふ゛り | 2009年5月24日 (日) 21時59分

怒涛の魯肉飯データベース!
魯肉飯食べたくなったらこちらを見に来ることにします。

ところで、関係ない話題で恐縮ですが、栄楽園は今週の火曜日は営業するそうです。
比較的狙い目なのかも。
ご参考まで。

投稿: アリーマ | 2009年5月24日 (日) 23時36分

★ぶりさん

雲龍、生福園、江南、萬来亭と、あの辺は課題店がいっぱいありそうですね。
お腹がいくつあっても足りません。


★アリーマさん

栄楽園情報ありがとうございます。
どうもなかなか入れなくて・・・。

しかし平日まっただ中の火曜日はさすがに私には難しそうです。
五月最終日は日曜日なのですが、その日の営業があるのかどうか
気になってます。

営業していても常連さんの貸切になるかもしれませんけどね。

投稿: 本須 | 2009年5月25日 (月) 00時37分

すーっごぃ数をお召し上がりですね delicious
魯肉飯は脂の浮いた汁だくタイプが好きです
台湾で食べると100円そこそこなんですけどねぇ…
こっちでも、もっとシンプルな内容
(肉そぼろと高菜のみ 煮卵はオプション)でよいから
せめて秀味園さんのよぅにワンコインにして欲しいです

投稿: 小径のヌシ(^-^) | 2009年5月25日 (月) 08時20分

「営業は31日まで」とおっしゃってました。
貸し切り、という話は今のところないみたいです。

お店は6月も借りた状態のまま、片付けで誰かしらいることになるので、6月上旬くらいならばひょっこり開けていることもあるかも(まだわかんないけど)・・・との由。

あと、叉焼丼はお弁当もできます。
家でお皿に載せなおして温めて食べたら、これはお店とはまた別の美味しさでした。

投稿: アリーマ | 2009年5月25日 (月) 16時38分

★ヌシさん

何年もかけて食べた記録なので、
食べるペース自体は結構のんびりなんですよ。

台湾では100円なんですか。
毎食食べても全然痛くないですね。


★アリーマさん

栄楽園は31日までやってるんですね。
貸切に当たらなければ、閉店までに1回くらい入れるかもしれません。

できれば、6月も時々営業してほしいですけど。

投稿: 本須 | 2009年5月25日 (月) 23時12分

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