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2010年3月 6日 (土)

あの記事も看過したくないなぁ

毎日新聞がやらかして読売新聞がやらかして、次は朝日新聞だろうかと楽しみにしていたのだが、残念ながら違ったようだ。

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(例によって本記事中、文字の色づけは引用部分を含み、私によるものである)

今度は神奈川新聞社のカナロコこの記事。『食べ放題に肉まん店…、横浜中華街、入れ替わり激しく低価格志向の店増加/神奈川』という題名の記事である。

なんかもう読んでいて既視感いっぱいで疲れてしまったので細かいことは書かないが、例によって桜美林大学ビジネスマネジメント学群の菅原一孝教授の調査結果なるものが出ている。

菅原教授らの調査によると、中華料理店は2006年7月には239店あったが、3年後の09年6月には197店に減少した。増減の内訳を詳しくみると、 94店舗が閉店していたが、新規開業も52店あった。菅原教授は「撤退する老舗がある一方、新華僑がどんどん進出してきている」と指摘する。

毎日新聞の時と全く一緒の数字である。この数字がいかに怪しいかについては先の記事で書いたのでもう詳細は書かなくてもいいだろう。

結局、3紙とも情報源が全く同一。他の情報源からの裏も取らずに完全に大本営発表の垂れ流し状態である。最初はどこかのダメ新聞社だけの現象かと思っていたのだが、どうもそうではなさそうだ。もう新聞というもの自体がこういう品質のメディアに成り下がったということだろう。記者クラブ制度に甘やかされて育ったのでこうなっちゃったのかもしれないが、もはや新聞というものはお金を払って読む価値のある物ではなさそうだ。たまたま自分がよく見ている分野だから間違いがはっきり分かるだけのことで、きっと他の分野の記事でも似たようなことをやらかしているのだろうと思った。

ところで、今回の記事では他にももうちょっとひっかかる部分がある。

特に肉まん店が06年の36店からことしは56店、甘(あま)栗(ぐり)店が18店から28店へと急増した。

甘栗もそんなにあったっけ?というくらい数字が多い気がするのだが、肉まん店の20店舗増の方もかなり違和感がある。肉まんを店頭で売る店はほんとにそんなに増えただろうか?

中華街で多店舗展開をしている肉まん店として目立っているのは「皇朝」であるが、手元の記録を調べてみると、2006年7月の時点で現存する4店舗中の3店舗までがすでに開業済みである。その後に開店した皇朝の店は大通り店の1店舗だけ(なお、石川町駅前のやつは中華街の店舗としては対象外と考えている)。「江戸清グループ」も店舗数が多い方だが、2006年7月時点でほとんど開業済であり、それ以降の開業は市場通りのお店だけ。逆にこの期間中、「日日華」や「華香園食品」が廃業しているわけで、新規の20店舗を数え上げるのはかなり難しそうだ。そんなわけで、料理店数ほどの確信は無いが、こちらの数字もかなり疑わしいと感じている。

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もしかすると、全国紙にとっては地域情報などどうでもよいことであって、適当な記者に適当な品質の記事を書かせているのかもしれない。が、神奈川新聞社の場合、本社所在地は横浜じゃなかったのか?地方紙が地元の記事もろくに書けないでどうするのだろう。しかも、神奈川新聞社編集局のページを見に行ったらこんなものが目に入ってきたのだった。

神奈川に根差した信頼性の高い紙面づくりに「こだわり」

なんとも頭が痛い。

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2009年12月8日に毎日新聞、2010年2月6日に読売新聞、そして2010年3月4日に神奈川新聞、とたて続けに精度の怪しい数字をそのまんま使った記事が出てきて直る気配が無い。もしかすると、確度の無い情報が定説化される過程を今目の当たりにしているのかもしれない。

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(2010.3.6 8時過ぎ修正) 引用部分の体裁が崩れていたので修正。

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雑文」カテゴリの記事

コメント

そういえば、一連の新聞のタワゴトが町内(笑)に浸透しているようで、うちの1階のレジの方が「○店閉店して○店開店したらしい」だのと言っておりました。

中の人にまでこう思わせてしまう新聞は、やはり看過できませんね。

投稿: ふ゛り | 2010年3月 6日 (土) 09時24分

★ぶりさん

とうとう例のタワゴトは町内も汚染し始めましたか。
タワゴトでも100回繰り返せば何とやらですからね。

そもそもお店の人は朝から晩まで自分の店で働いているわけですので、
全般的なお店の動向などは知るべくもないでしょう。
この手の話は情報を外に頼らざるを得ないでしょうから、
品質の低い新聞記事に晒される悪影響はほんとに深刻ですね。


調査をしたという当の教授の経歴を調べてみると、仕事の都合上、
中華街関係者とも結構親しそうです。
もしかすると、発展会の偉い人からも相応の信任を得ていて、
調査結果もすっかり信じられているのかもしれません。

投稿: 本須 | 2010年3月 6日 (土) 22時24分

中華街徒歩圏内に住んでいることもあり、いつも楽しみに読ませていただいています。

9/4(土)、社会人のための大学フェアというイベントで、この教授の講演があるようです。「横浜中華街の現状と課題−食文化の町としての中華街の変貌」とのこと。
申込もいらないようなので、時間があったら行ってみようかとも思ってます。

http://www.planet.pref.kanagawa.jp/fea/2010fea/2010fea_2.html

投稿: jinsak | 2010年8月21日 (土) 09時07分

★jinsakさん

中華街徒歩圏とはすばらしい環境にお住まいですね。

講演会の件、おもしろい情報ありがとうございます。
リンク先を見たところ、講演会はかながわ県民センターのようです。
中華街で昼食を摂った後に立ち寄って聞いてみるのもいいかもしれませんね。

でも、私自身は行かない可能性の方が高いと思います。
題名を見る限りでは中華街まちなかキャンパスの内容と
あまり変わり無さそうですし。
フィールドワークは人の話を聞くよりも実際に現地を歩いて
ナンボということもありますしね。

投稿: 本須 | 2010年8月21日 (土) 23時04分

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