2016年を終えるにあたり
2016年ももうすぐ終わり。例によってこの1年を振り返ってみる。
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下のグラフは、横浜中華街における中華料理を出すレストランとして私が把握しているお店の廃業・開業状況についてまとめたものである。2016年は昨年ひとまず落ち着いたかに見えた開業・廃業数が再び増加に転じ、入れ替わりの激しい1年となった。
今年閉店した店は「六鳳居」「彩鳳」「酔仙酒家」「裕福楼」「満珠園」「華勝樓」「翠亨邨茶寮」「聚香閣」「東新飯店」「蓮香園」「まるた小屋」「青葉」の12店舗でカウントした。
今年開店した店は「華錦飯店新館」「金福粥記」「四川麻婆」「萬金楼別館」「日昇四川菜館」「保昌(新店)」「南粤美食」「龍翔」「萬源酒家」「美楽一杯新館」「七福小龍包」「SEN'Sキッチン」「龍海飯店(新店)」「双喜麺上海」の14店舗でカウントした。「金福粥記」と「龍翔」は元々物販からの業態拡張なのだが、一応新店としてカウントしている。「SEN'Sキッチン」も中国料理のメニューが割と含まれていることからカウントに含めた。
今年の閉店では、昔から長く営業していたお店の閉店が相次いだ。特に「酔仙酒家」「六鳳居」「華勝樓」の閉店はとても残念である。「華勝樓」については店舗跡の建物が今後どのように扱われるのか気になるところだ。宮大工による建築物らしいので、壊してしまうのはもったいないと思うのだが、老朽化も進んでいるだろうし、はたしてどうなることやら。
今年は完全撤退という感じの閉店は少なく、業務縮小という感じの閉店が多かったように思う。「彩鳳」は関内に新館がある。「満珠園」はすでにかなり前の段階で経営が「保昌」になっていた(実は「保昌」の牛バラカレーは「満珠園」でも注文できていた)。「聚香閣」は「日昇四川菜館」にある程度引き継がれている。「蓮香園」と「青葉」はそれぞれ新館がある。
開店店舗に目を向けると、完全な新店は「南粤美食」くらいかと思う。こちらのシェフは2014年に閉店した「茘香尊酒家」のご出身だと耳にしているが、広東系の料理で割と頑張っているようだ。開店直後に店に入ると、焼き物や塩鶏がカウンター上にずらっと並んでいてなかなか壮観である。一度ランチを食べたことがあるが、付属のスープが大変おいしかったことが印象に残っている。こういうお店はこの先長く続いていって欲しいと思う。できれば店内禁煙だともっと良いのだが。
8月にオープンした「美楽一杯新館」は親店舗の「美楽一杯」が夜のみの営業であるのに対して、こちらは昼間も営業しているというのがうれしい。
食べ放題店は相変わらず猛威をふるっているようだが、これまで回避しようとしてきた消耗戦に突入してきた感がある。時間無制限オーダー式を謳っているのはこれまでと変わらないが、1980円くらいをメインに提示してきていたのが近頃は1680円をメインに提示しているようだ。ただし、1680円だと品数が70品くらいで、2480円の方だと230品くらい、というような区別をつけている。なので、店頭に大きく掲げてある安い値段を見て入ったら安い方はつまらない品しか食べられなかったとか、店内に入ってから高い方を強力に勧められて高くついた、とかならないように注意が必要である。
食べ放題店については新華僑がどうこういう記事も見かけたりするが、実はあまりその辺は関係無いと思っている。ただし、客引きがしつこい、客引きがいる場所から離れた店舗に連れて行く、近所の看板を塞ぐ、客引きが歩道を塞いだり道の真ん中に出ている、というような店は避けた方が良いと思う。食べ放題店はいっぱいあるのだから、そういうお店を避けたとしても選択肢には困らないはずだ。
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今年は中華でないお店の方にもいろいろな動きが見られた。
夏頃には「龍起茶房」が「龍起茶房aqui」としてスペイン料理も出すようになった。和食の「神田」も「ニューベトナム」跡にオープン。喫茶店の「比韻豆」跡には「万龍館」がオープン。こちらも喫茶店のようなのだが、なぜかちまきも置いていた。「美女と野獣」というお店もオープン。これはフレンチらしい。
冬にかけては寿司屋の「清川」が閉店。こちらは関内方面に別名店舗として移転したという話を聞いている。「Cafe Cha」の跡には「Cafe Everest」というカフェがオープン。「周苑」売店跡には「普山」という和食と蕎麦の店がオープン。旧「謝甜記二号店」の隣にできた新築ビルにはカフェ&ホステルの「CHILLULU」がオープン。中華街内にホステルというのはおもしろい試みだと思う。私はプライベートな空間が欲しいのでホテルに泊まってしまうが。あと、「青葉新館」の脇で「幸せのパンケーキ」という店の工事が進んでいる。
そうそう、多分秋口だと思うが、焼肉の「京城苑」も閉店した。もうあそこのカルビ焼肉弁当を食べることができないというのはまったく残念である。
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とまあ、2016年の中華街も相変わらず動きが激しかった。2017年については改築していた「耀盛號」が当初予定の2ヶ月遅れで3月に復帰する。「招福門」前のホテルもできあがり、「福満園本館」脇の新築ビルも完成するだろうからいろいろ動きがありそうだ。
一方、閉店後のテナントがなかなか決まらずに年を越す物件も結構あり、これらがどうなるのかは気になるところ。あと、「金陵」近辺の地上げらしき動きも最近止まってしまったように見えている。どうも最近歯抜けが増えてきた感じがしており、全体的な動向として少々心配している。
また、残念ながらすでに2店舗ほど半年以内と思われる閉店情報が聞こえてきている。その中には老舗も含まれていて、ガセであることを祈っている。
今年度からは横浜には滅多に戻って来ることができない異郷の地が仕事の拠点になってしまったので、中華街情報についていろいろ取りこぼしは出そうだが、時たま戻ってきて例によってのんびりペースで中華街の観察を続けたいと思う。こんなおもしろい街は他にはそうそう無い。
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【おまけ1】
そういえば、ベビースターラーメンの『ベイちゃん』が今年で引退するそうである。「横浜博覧館」には「おやつFactory」が入っているが、引退セールをやっていた。
【おまけ2】
中華街ではないが、すでに情報をいただいていた本牧方面の「華香亭本店」の復帰を確認した。よかったよかった。
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コメント
「まるた小屋」は手相占いの店にしちゃったんですね。
あのオヤジが店舗前で呼び込みをやっていました。
焼肉の「京城苑」の閉店は残念でしたね。
これで中華街から焼肉店が消えてしましました。
「雲龍跡地」から関帝廟通りにかけての広大な空き地、
地上げのようですね。
「金陵」が気になります。
投稿: 酔華 | 2017年1月 2日 (月) 07時53分
★酔華さん
「金陵」は心配ですね。ただ、あの辺の立ち退きは
一段落して進まなくなったようなので、
しばらくは大丈夫かもしれません。
年末に見に行きましたが、
叉焼を求める長い行列ができていて健在でした。
投稿: 本須 | 2017年1月 2日 (月) 16時24分